Aレベル → 教科書例題レベル~教科書演習問題レベル
・問題集の例題のような易しい問題
・教科書の演習問題のような基本的な問題
・入試でよく見かけるありきたりな典型問題
Bレベル → 入試標準レベル(教科書発展問題レベル)
・頻出ではなくとも基本的な手法で解ける問題
・工夫が必要な問題だが誘導が丁寧な問題
・理解力が問われる問題
・計算がやや煩雑な問題
Cレベル →入試発展レベル
・工夫が必要で自分で方針を見つけ出す問題
・様々な手法を用いる問題
・計算がとても煩雑な問題
Dレベル → 難問レベル
・高度な思考力が要求されるような問題
・方針を立てにくい問題
総合評価
すべてが基本(Aレベル)~標準(Bレベル)の問題で構成されている。2019に比べると簡単になったかな?解法が思いつかないような問題もなく、すべて解いたことがあるような典型問題である。
6題中5題を選択解答の場合、例年は制限時間(120min)に対して問題量が多く計算もボリューミーであったが、今年はそうでもない。もちろん余裕はなく、〔4〕などは積分計算がややボリューミーであるが、全部解いても時間ぴったりに終わる程度であると思われる。
また、全体を通して図示すべき問題が多く、図示に手間取ると時間が足りなくなってしまう。今後の勉強の中で、図示の習慣をつけておく必要がある。
〔1〕座標平面:総合Bレベル(20min程度で完答したい)
ある程度丁寧な図示を必要とする問題。
数式だけで追うことは困難なため、図を書いて状況を整理する習慣がついているかどうかがポイントとなる問題
(1)Aレベル(3min)
三角形の内接円の半径を求める問題。
「面積に着目」して解くか、点と直線の距離公式を使った「中心と直線の距離が半径」で解くかの2通りの解法が考えられる。どちらでもかかる時間に大差はないが、面積が簡単に求められるので解説では「面積に着目」する解法で解いている。
(2)Aレベル(7min)
円と直線の交点を求める問題。
ただ連立して解くだけなので特段注意するべきことはない。
解が2つ出てくるので、それがEのx座標とDのx座標であることを理解するべし。
(3)Bレベル(10min)
(2)の条件のもとで、lと外接円の交点を通るx軸と平行な直線が内接円と接することを示す証明問題。
まずは図を書いて状況を把握できれば、「Eのy座標が2rになることを示せばいい」という方針が浮かぶであろう。
まずは「座標平面上で円と直線が接する」⇔「中心と直線の距離が半径」を用いてrとaの関係式を求める。それに(1)で求めたrを代入してa^2を求める。ここで無理にaを求めようとすると、±がついたり2重根号になったりで煩雑な計算になってしまう。
Eのy座標の中にはa^2しかないので、そのままa^2を代入して終了。
(3)完答のポイントは
・aを求めてaを代入せず、a^2として代入する
・Eのy座標を直接2rとして導かない(解答の最後参照)
に気をつけられればできたであろう。
〔2〕三角関数・座標:総合Bレベル(20min以内で解答したい)
答えを求めるだけなら教科書レベルであるが、解の吟味を怠ると論述不足で減点が多くなってしまう。細かい条件にしっかり気を使って回答作成をしたい。
(1)Bレベル(10min)
状況を把握するのがちょっとめんどくさい。
〔1〕同様、ある程度丁寧に図示しないと直角の場所などを勘違いするので注意が必要。
Bのx座標自体は簡単に求められるが、「分母が0でないことの確認(証明)」「解が負であることの確認(証明)」をしなければならない。
そもそもその確認の発想すら出なかった人は今後の演習でも常に注意しよう。
「分母が0でないことの証明」は合成をして範囲を求めるのが一番いいだろう。
(2)Bレベル(8min)
中点のx座標を求めてそれが0以上になるθの範囲を求める問題。
不等式を解く際に三角関数の方程式の鉄則「2次の項のみなら2θにそろえて合成」を覚えていたかどうかがポイントとなる。
補足:三角関数の方程式・不等式/最大最小問題のパターン
・sinθかcosθにそろえる
・t=sinθ+cosθとおいて、2乗して合成して
・2次の項のみなら2θにそろえて合成
〔3〕数列・座標:総合Bレベル(25min以内で完答したい)
座標平面のx座標を求めるいわゆる点列の問題。難易度的には標準だが「座標における三角形の面積公式」や「等差×等比の和」などがあるので標準問題を確実に解くが求められる。
(1)Bレベル(10min)
やはり図を書いて状況を把握する。ルールは複雑ではないためx1からx2やx3を出せばすぐにルールを把握できるだろう。あとは、公式「点(p,q)を通る傾きm直線の方程式:y=m(x-p)+q」に代入して、x切片を求めれば等比数列の漸化式が得られる。
(2)Aレベル(5min)
「座標における三角形の面積公式」を知っていれば一瞬でとける。
筑波大受験者だと覚えているかどうかが合否を分けるときもあるため確実に覚えて得点しよう。
(3)Bレベル(10min)
「等差×等比の和」の問題。
Tを求めて終了にしないように注意すれば解けるであろう。(あと計算ミスにも注意)
また、イーズでは等比の和を日本語で覚えるように指導している。これはn乗で覚えると解けなくなる問題が多いためである。しっかりと項数乗であるとして覚えよう。
〔4〕微分(媒介変数)・積分(回転体):総合Bレベル(30min以内で解答したい)
(1)Aレベル(12min)
ただの積分計算。
I1は余裕であろう。I3も「偶数乗なら半角で字数を下げる」ことを覚えていればそれを2回やるだけ。I2で和積(積和)の公式を使うことを思い出して、加法定理から導くことができたかどうかがポイント。筑波大で三角関数は頻出なので和積の導き方もしっかりとおぼえておこう。
計算量がややボーリューミー。
(2)Bレベル(7min)
媒介変数表示されたグラフの図示。
媒介変数の増減表は6段で書くこと。今回の問題は単調増加なので東進などの解答では増減表を書いていないようだ。が、書いたほうがいいだろう。
(3)Bレベル(8min)
回転体の体積の問題。
媒介変数表示の場合は、解答のように変数変換(置換積分)が必要になる。
記述する上で気をつけるべきは、dyをdθに変換する過程をしっかりと書かないと減点になること。つまりは解答のように書かなければ減点対象となる。
最後は(1)のI1,I2,I3を代入するだけなので計算ミスに気をつけて答えを出そう。
また、解答でVをI1,I2,I3を使って表して書いておくと、(1)で計算ミスしていてもそこまでで部分点がくる可能性が高い。
〔5〕数列・極限:総合Bレベル(25min以内で完答したい)
「解けない漸化式は具体化して帰納法」の問題。
大切なのは、この漸化式が「解けない漸化式」であると気づけること。そのためにまずは解ける漸化式のパターンをしっかりと覚えよう。
(1)Aレベル(3min)
計算ミスしないように。
また、途中計算も丁寧に(あとで帰納法するときに同じ計算をする)
(2)Aレベル(10min)
解けない分数漸化式はだいたい(等差/等差)になっていることが多い。
たまに(a^n+p/b^n+q)のような形のものもある。
それを知っていれば一般項はすぐ予想できるであろう。文字cが入っているとよくわからなくて気づけない人もいるが定数であることを意識してくれれば気づけると思う。
あとは、普通に帰納法で進めればよい。
注意点は3つ
・「数学的帰納法で示す」と書くこと
・「ak+1=〇/〇となることを示す」とゴールの形を書いておくこと
・漸化式とBを使うこと
これらをどんな問題でも帰納法の場合は意識して記述の答案を作ろう。
(3)Bレベル(10分)
よくわからないが、計算すれば「分数式の和」の形になるので「BBB(部分分数分解)」をする問題であると気づける。
イーズでは、「前後で消える」ではなく「筆算で消える」と指導している。
最後極限はおまけ程度。
和を求めるだけなら文系にとってもいい問題になるだろう。
〔6〕複素数平面(軌跡):総合Bレベル(25min以内で完答したい)
(1)Bレベル(10min)
入試頻出の式変形である。筑波大は複素数の問題を高確率で出題するので、この式変形を知らなかった人はよく複素数の問題演習をしておくように。
(2)Bレベル(12min)
「w+wバー」が実数であるので、A,Bは実軸上かつAB=2であることに気づけば最大は簡単に求まる。
また、そのときの図を図示すればPB⊥実軸なので、PAが直径であることにも気づけるので後は簡単。
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